米国株式インデックス投資万能論にモノ申す!?

米国株式インデックス投資万能論にモノ申す!?

目次

Ⅰ.注目の米国株式インデックス投資とは?

Ⅱ.米国株式インデックス投資の魅力

Ⅲ.米国株式インデックスのリスク

Ⅳ.リスクを踏まえてどうすれば良いのか

Ⅰ.注目の米国株式インデックス投資とは?

 最近、米国株式インデックス投資が注目されています。YouTubeでも、投資系YouTuberの方だけでなく、お笑い芸人の中田敦彦さんや厚切りジェイソンさんなど、様々なジャンルの方、影響力のある方が発信することで、多くの方に浸透してきています。

 そして、注目されて、それが支持されている最大の理由は、シンプルで簡単、何もしなくてよいという部分だと思います。投資と聞くと、難しそう、知識がいる、専門家が勝つゲームというイメージがありましたから、この”米国株を積み立てているだけでよい”というのは、それなら自分でもできそうという投資に対するハードルが下がり、支持されている最大な理由だと思います。

 ここで、お伝えしたいのは、上でご紹介した発信している方々の言っていることを全く否定するつもりはないですし、仰っていることは正しいので、正しく理解して欲しいという想いからこの記事を書いているということです。私自身非常に勉強になりましたし、これで投資に対するハードルが下がっていることを考えると本当に素晴らしい発信です。

 私がお伝えしたいのは、「米国株に積立て投資だけしていれば、老後は安心だ!」という捉え方をしないで頂きたいということです。つまり、「米国株式インデックス投資は万能だ!」と捉えないで頂きたいということです。実際に、中田さんも「これを機に勉強していきましょう!」と動画の最後で述べていますし、有名ブロガーのバフェット太郎さんも、動画で「やみくもに米国高配当株を薦めているわけではない」と仰っていますので、万能であるとは仰っていないと思います。では、なぜ私自身が発信しようと考えたかというと、周りから「アメリカの株に投資してればいいんでしょう?」と聞かれることが異常に増え、理解不十分のまま世の中に伝わっている可能性が高いなと思ったからです。以前から、投資について、聞かれることは多かったですが、ここ半年くらいは、ほとんどが米国株に関する質問です。したがって、素晴らしい発信者の方々の素晴らしい発信が、正しく理解されるように、敢えて米国株のリスクについても、お伝えしようと思います。

Ⅱ.米国株式インデックス投資の魅力

 前の章では、米国株が支持されている理由について述べましたが、ここでは米国株の魅力について説明しようと思います。説明しようと思いましたが、魅力については、多くの方が発信していますので、ご参考動画やご参考書籍のリンクを貼っておくので、そちらをご参照下さい。

” target=”_blank” rel=”noreferrer noopener”>【株投資②】金が金を生む米国株高配当マネーマシンの育て方 「中田敦彦のYouTube大学」

” target=”_blank” rel=”noreferrer noopener”>お金が増える 米国株超楽ちん投資術

Ⅲ.米国株式インデックスのリスク

 リスクと聞くと、皆様どのようなイメージをお持ちでしょうか?一般的にリスクとは、「損する可能性」というような捉え方をされています。これは半分正解で半分誤りです。金融の世界でリスクとは、「期待通りにならない可能性の大きさ(=値動きの振れ幅の大きさ)」です。したがって、ずっと大きく上昇して、一度も下がったことがない金融商品が仮にあったとしても、ハイリスクと言えます。金融市場で投資を行うにあたって、このリスクとの付き合い方が非常に大切になってきます。

 まず、金融商品別のリスクの大小を確認しましょう。以下の図は全国銀行協会の資料から引用した金融商品別のリスクリターンのポジショニングマップです。

一般社団法人 全国銀行協会 「金融商品を選ぶときには」 より

 投資信託は、注意書きでもあるように、商品によって全くリスクリターンが異なりますので、一概には言えませんが、ここで確認したいのは、株式はリスクが高い投資対象であるということです。ただ、リスクが高いから株式が良くないと言いたいわけではありません。ここだけは押さえておいてほしい点は、米国株式に投資をするとなると、為替リスクも加わるということです(為替リスクについてはこちら)。

 米国株式に投資をするということは、基本的に円を米ドルに換えるので、為替相場の影響を受けます。そして個人的には、この為替リスクというのは、株式の価格変動リスクとは性質が異なり、付き合い方には注意が必要だと考えています。何が異なるかというと、「上昇することを目指していない」ということです。株式投資は企業が利益を出すために必要な資金を集めるために企業が発行した株式に投資をするものですから、成長が前提にあります。もちろん、様々な変動要因があり、成長しているにも関わらず、株価が上がらないということもありますが、成長して上昇することが前提にあり、そうでなければ淘汰されるので、長く株式市場に上場し続ける企業は成長し続けていると言えます。

 しかし、為替の場合は、通貨の取引であり、通貨自体成長するわけではありません。そして通貨の発行量は各国の中央銀行(日本の中央銀行は日本銀行)が調整しています。通貨も”モノ”ですから、発行量が少なくすれば、希少性が出て価値が上がり、発行量を増やせば、希少性がなくなり、価値が下がります。近年では、世界的に金融緩和(通貨の発行量を増やしていくこと)の状況ですので、通貨の価値は下がっている傾向にあります。今は増やしているのだから、いつかは少なく調整するでしょという考えもあります。それは正しいかもしれないですし、間違っているかもしれません。つまり、わからないのです。さらに長い目で見た時には、通貨の価値は下落し続ける可能性が高いと思っています。その理由は二つあり、①通貨の価値は下落し続けてきているからということと、②暗号通貨の存在が台頭してきているからです。

 ①については、過去の為替チャートを見れば、事実として把握することができます。

ドル円レート長期推移(1971年以降)
引用元 「https://finance-gfp.com/?p=3008」

 1971年8月までは、1ドル=360円の固定為替相場制でした。それが今では105円ほどと米ドルの円に対する価値は3分の1以下になっています(2021年2月現在)。50年前の話をしてどうするんだという方もいるかもしれませんが、読んでくださっている方に50年後も豊かに生活して欲しいですし、世の中の流れは圧倒的に早くなってきているので、10年でも金融市場は様変わりする可能性は十分あります。よく為替リスクは、「ドルコスト平均法」によって解決できるという話もあるのですが、下がり続ける相場において、ドルコスト平均法は解決策にはなりません。

 ②の暗号通貨の台頭については、現在の通貨(円やドル)としての役割を担うことができれば、現在の通貨の価値は著しく低下します(場合によってはゼロに)。これも今すぐにではありませんが、世の中の流れは早いことを考えれば、今からリスクとして捉えておいて損はないと思います。

 このように、為替リスクというのは、過去・現在から未来を考えた時に、非常に注意すべきであり、米国株式に投資をするということは、その為替リスクを含んでいるということを理解しなければなりません。

Ⅳ.リスクを踏まえてどうすれば良いのか

 では、米国株式インデックス投資をしない方が良いのでしょうか?結論としては、リスクを理解した上で、比率を考慮して判断しましょうということです。Ⅱ.米国株式インデックス投資の魅力でも申し上げたように、魅力もあると思いますが、決して万能ではありません。つまり、申し上げたいのは、米国株式インデックスに資産を突っ込んでさえいればよいということではないということです。

 為替リスクについて、悪い面ばかり説明してきましたが、他国の通貨を全く持っていないことも非常にリスクが高いと思っております。円の価値が暴落してしまえば、私たちの生活も一変します。「私は、外国と取引しないから関係ない」ことはありません。私たちの生活必需品も他国から非常に多く輸入しています。為替の変動は全て円で持っていて、円でしか生活していないとしても必ず生活に大きな影響を与えます。したがって、少なからず他国の通貨(特に米ドル)は持っておいた方が良いですし、私自身も資産の2~3割は米国株式を米ドル建てで持っています。

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